大学時代からの付き合いである田所良則と中西宗一は、間もなく定年を迎える団塊の世代。久しぶりに酒を酌み交わすふたりの話題は、もっぱら定年後の心配だ。仕事人間だった田所は、特にこれと言った趣味もなく、今のところ再就職も考えていない。そんな彼に、中西は告白する。「実は俺、最近若い子と付き合っているんだ」なんでも、試しにやってみた出会い系サイトで知り合ったOL・秋本純子と交際していると言うのだ。「家族の為に我武者羅に働いて来たが、こうして振り返ると、一体俺たちの人生に何が残った。彼女は、そんな俺の人生に潤いを与えてくれた。若い子の体はいいぞ。張りが違う。お前もやってみたらどうだ。便利な物(携帯電話)はどんどん活用しないと、つまらないぞ」
これから純子のマンションに行くと言う中西と別れ、家路に着く田所。家では、長年連れ添った妻の正子が待っていた。正子の尻を見ながら、田所は呟く。「人生の潤い……、か」