昼過ぎに一眼レフカメラを手にした義父の徳延がやって来た。「昼飯は済ませてきたから、何もかまうな」と徳延は居間に座り込んだ。正則の継父・徳延はまだ55歳とで若く、働き盛りだ。凛子は義父にお茶を入れると、いつものように和服に着替えた。
もうすぐ生徒の由美子がやって来る。凛子は幼い頃から花道・精華流の家元である父から教えを受け、彼女自身免許を持つ花道家でもあった。そのため数人の生徒を取って、自宅で教えていた。凛子は花を生けるときは必ず和服に着替える。和服を着ることで、彼女自身精神を統-して、生徒に日本古来の伝統・花道を教えるのだった。