その時、『ピンポーン』とチャイムの音が君恵の快感を壊した。ハッと我に返った君恵は濡れたバイブをクッションの間に隠し、あわてて玄関に向った。
妹の尚子がフィアンセの友之を連れて、婚約したことを姉に報告しに来た。尚子も君恵が夫を亡くしてまだ日が浅いことを気にかけながらも、私は私と割り切っていたところもあった。友之は勧められた座布団の下から、思いがけない物を見つけてしまった。濡れたバイブ、こんな物がなぜこんな場所に。まるで自分が誤ちを犯したように胸がドキドキしてしまった。お茶とケーキを運んできた君恵の少し上気した顔を見て、友之はアッと声を上げそうになった。