その日も、彼女は汗をかいた配達員の山本に目をつけると、彼に近づいた。相手にその気がなければ、こちらから仕掛ける。東洋医学にも精通する彼女は、性に関するツボを心得ている。まず、相手の掌にある『精力点』を押さえてみる。これで反応がなければ、今度は背骨の一番下にある『仙髄』を刺激してやればいい。ここを押せば、どんな男ももよおさずにはいられない。後は、ホテルへ連れ込み、男の上に跨る。昼間の手術が難しければ難しいほど、彼女は燃えた。
片山クリニックの診察室。診療を終えた彼女に、しかし休息の時間はない。これから、回診があるのだ。院内に特別に設えた病室。実は、そこは男の性のツボを開発する為の飼育部屋であった。
今、入院しているのは大野弘樹と言う会社員の男。彼の妻・麻子の依頼で、真面目な夫を彼女の思い通りのセックスが出来る男に変えるべく、飼育しているのだ。そして今夜、彼女の施術は完了した。
数日後、大野家のリヴィング。凛子が、麻子から謝礼を受け取っている。麻子は、嬉々として最近の夫婦生活を凛子に語った。