この偽装結婚の仲介を務める村岡は、別れた妻・今日子とズルズルと肉体関係を続けていた。村岡を愛していたが、いつまでもこんな関係を続けることに耐えられなくなった今日子は、再婚を決意した。いつかはそんな日が来ると思っていた村岡であったが、やはりショックであった。そんな村岡が皮肉にも人の仲人まがいのことをしている。
ラブホテルの一室で村岡媒酌のもとで、芳介とはるみの結婚式がおこなわれた。形だけの三々九度をし、村岡は出ていく。芳介はこれで四回目の偽装結婚であった。籍だけを人れるという約束であったのに、入管は厳しいと言って、いきなりはるみにのしかかる芳介。彼にとってこれも報酬の一部であった。
その夜、店に出たはるみは、異常にノッているように見えた。偽装結婚には多額のお金が必要であった。まだ頭金しか払っていないはるみは必死だった。一杯三百円のチップ制のドリンクをたて続けに飲み、トイレで叶き、そしてまた飲む。従業員ケンはトイレではるみを見かけ、哀れに思っていた。トイレの個室が開き、さゆりがケンを呼ぶ。さゆりはケンの股間をまさぐりながら、はるみの偽装結婚をやめさせる計画を打明ける。さゆりはケンがはるみを好きなことを知っていた。やさしくて、どちらかというと気の弱いケンなら、きっと共犯者に出来ると思っていた。ケンに有無を言わさずパイズリ、フェラチオと責めるさゆり。ここちよい快感の中でoKの返事をするケン。
店が終わり、泥酔したはるみとさゆりを乗せた車をケンが運転していく。途中で車を止め、打ち合わせどおりに出ていくケン。そして、少し後にさゆりも出ていく。窓をたたく音で目を覚ますはるみ。ふと起き上がるとストッキングを被った男が、いきなりのしかかってくる。暴れるはるみを押さえ付け、強引に犯していく。はるみは男のつけているコロンの匂いで、ケンだということに気が付く。後は男のなすがままになっていた。
さゆりはなけなしの金、二十万をもつて村岡に会いに行く。頭金にもならないと相手にもされなかった。もぅなすすべもないさゆり、かといってじっと黙って見守る気にもなれない。うちひしがれたケンとさゆりは、やり場のない感情をセックスでまぎらわすしかなかった。ケンの車の中で激しく求め会う二人。さゆりの足がギアにかかったことも気付かずに。車はゆっくりと動き出し、そして川の中に落ちていった。ふたりの死は心中とみなされた。
ひとりになったはるみは、村岡を呼び出し、ケンとさゆりの葬式をしようといった。ふたりのお墓をたてるためにフィリピンヘ帰るという。大金を出した偽装結婚を放棄して…。村岡はそんな純粋なはるみが好きになっていた。偽りでない愛ではるみを守ってあげたいと思った。
芳介に媒酌を頼み、村岡とはるみはラブホテルでささやかな結婚式をあげた。質素な式であったが、それを微塵にも感じさせないふたりの愛があった。村岡のやさしい愛撫に応えるかのように、身を震わせ、悶えるはるみであった。