市民大学で受講生たちの人気は、派手なファッションの事務スタッフ、坂口美樹に集っていた。控えめな瑞恵は目立たない。しかし、事務長の杉町は瑞恵のうちに秘めた、どこかゾッとするような色気に気付き、欲情をかきたてられている。
といっても、彼女にはすでに婚約者がいた。官庁勤務の重政である。間もなく結婚式が迫っていた。 瑞恵の講義のテーマは「見せる衣服」から「感じる衣服」への転換、だった。人に見せるためだけではなく、その服を着ることによって、心理的・生理的に感じて、着る人が何かしら変化する。この方向が、これからのファッションの主流になるというものだった。 受講生たちは、そう言いながら冴えないファッションの瑞恵をあざ笑ったが、深夜のもう一人の彼女を誰も知らない。婚約者の重政でさえ知らなかった。
夜、一人の部屋で濃い口紅を塗る瑞恵、思わず目をむくようなボディコンに身を固める瑞恵。そのプロセスの中で、もう一人の淫蕩な瑞恵に変身し、深夜の町に出ていく。そして、男たちが酒を飲んでいるバーに現れ、今夜の飢食を物色するのだ。
この変身について、彼女自身はそれ程自覚的ではない。ボディコンを着ることによって、心理的にも生理的にも変わってしまうのだ。
バーの客たちの間では、瑞恵は謎の美女として知られていたが、ある日、受講生の一人、草薙が見かける。瑞恵に似てはいるが、まさかと思う草薙。教室でもあらためて観察してみるが、とても同一人物とは思えない。
しかし、ひそかに瑞恵の後を付け狙っていた杉町か、深夜の瑞恵を目撃していた。驚きながらも、これをどう使えば瑞恵の肉体をいただけるか、作戦を練る。
その頃、瑞恵の前に、重政の恋人だと名乗る中平明子が現れた。重政を間つめると、以前付き合っていたが、今は切れていると弁解する。しかし、どうやら一時期は二股をかけていたらしい。
今、愛しているのは瑞恵だけだ、という重政の言葉を信じて和解する二人。
重政の言葉の裏には、結婚するには瑞恵のような教養があって、地味に家庭を守ってくれる女が良い、という打算が見え隠れしている。もう一人の瑞恵を知らないのだ。
このごたごたに便乗しようとしたのが、杉町だ。深夜、男をあさっていることを、婚約者にばらすと脅す。しかし、本気でそんなことはしていないと否定する瑞恵。ボディコンによって、後女の二重人格が現れているので、もう一人の自分については無意識のうちにも忘れようとしているのだ。
そんなはずはないと確信している杉町は、バーで待ち受けている。派手なファッションで現れる瑞恵。彼女は追ってくる杉町を受け入れ、セックスする。彼の妄想していた通り、瑞恵は男を蕩かす肉体とテクニックの持ち主だった。
宿願を果たした杉町だったが、その後の瑞意の態度は冷たいものだった。学校では、まるでそんな事がなかったような顔をしているし、バーに行っても一度寝た男とは二度寝ないのが「深夜の瑞恵」のポリシーのようだった。
目の前で、他の男と立ち去られた杉町は怒り狂って、草薙たちをそそのかして、教室の中で集団レイプさせる。あえなく、野獣のような男たちの欲情の…犠牲になり、スペルマをまき散らされる瑞恵。
瑞恵の肉体に執着する杉町は、レイプの件も、深夜の男あさりも、婚約者にばらすぞと言って、瑞恵を脅すか、彼女は警察に訴えると言う。弱った杉町は、重政に匿名で連絡し、婚約者のレイプ事件が明るみに出れば、官庁での出世は望めないと忠告する。
驚いた重政は、瑞恵に真相を聞き、警察に訴えるのはやめてくれと懇願する。断念させられる瑞恵。市民大学の講師もやめる。
放心したように、結婚式を待つだけの瑞恵。変身して深夜出かけることもない。そんな瑞恵を監視しながら、安心する一方、どこか寂しいのは杉町だ。
ところが、式が間近に迫ったある日、瑞恵は突如としてボディコンを着る。そして、変身して街に出る。深夜の瑞恵が昼間に出現したのは、これか初めてだ。
市民大学に現れた瑞恵は、草薙たちのクラスに入って来て、レイプした男たちを次々と犯していく。
それを陰で見ながら、恍惚としている杉町。
結婚も仕事も捨てたのは、一人の野生の女として、男たちに復讐しているのだ。