今年で4年目。家族もしっかり、そして二年来の情人おさむ(50)もちゃっかりいて三十路のフェロモンを放射する人妻である。みさには、もう一つ、心の奥に刻み込む思い出を持っている。それは、小じゅうとである、あきら(25)との恋であった。同じ屋根の下の夜這い恋。
あきらは、みさが嫁に来て二年目家を出ている。近所の噂では、ひろしとあきらの兄弟は、両親が相次いで他界しても仲良くやっていた。しかし、そこへみさがやってきてあきらを追い出したと・・・。真実は・・・?。あきらが、みさへの恋情を断ち切るべく、出ていったのであった。
そして、今日あきらが戻ってきたのだ。
久しぶりに会ったみさは変に遠慮をし、へつらい他人行儀なあきらに失望し始めていた。心の奥の恋の第二章を綴ってしまうのではないかという不安と、希望でときめいていたのに・・・。
しかし、兄のひろしはそんなあきらを激励する。そのおかげと、半年前に流産という女の悲しみを乗り越えた、みさのフェロモンのおかげであきらは蘇り始めた。
その一方で情人家のひろしは他の女にも情けが盛んで、精力絶倫。デートクラブの社長の早苗(27)の紹介で今は女子高生のめぐみともうまくいっている。
そして、あの二人はと言うと・・・。みさと、あきらは恋の第一章の思い出をなぞり始めていて、ときめきは発火点に近くなっていた。
ひろしが、めぐみのマンションに外泊した夜、夜這いの恋は燃え上がる。きっかけはその夜、みさが情人のおさむと交わしていたテレホンセックスをあきらが覗いてしまったことである。三十路のみさの白い蛇のように悶える肢体に、あきらは再び一線を越える。
夜這いの恋い。みさの情人のおさむは、また早苗の情人でもあった。縁は異なるもの、電話を介して終える二組の男女。みさとあきら、おさむと早苗。みさとあきらの夜這いの恋の結末は悲劇か喜劇か?
みさには心の中に育っているのもがあった。それは、あきらの戻る前夜に見た夢。その夢の中でみさは、ひろしとあきらの二人の兄弟を愛している。しかも、ひろしとあきらから愛されているのだ。
果たして、夜這い恋いは兄ひろしの知るところとなる。一脚即発のひろしとあきら。
みさは叫んだ。心の底から嘘、偽りのない心情、ひろしとあきらの兄弟二人を愛していることを。ひろしとあきらも、みさを愛していた。
そして、いつしか夢は正夢になった。かくして一つ屋根の下新しくも旧い愛の型が始まった。