未亡人家政婦 中出しの四十路

  • 2021/01/06
出演者:
大空音々
ほたる
酒井あずさ
監督:
新田栄
上映期間:
2021/01/13 - 2021/01/19
上映時刻:
10:00~
シアター:
田中路子は、夫・弘明を亡くして1年。ホームヘルパーの会社に登録し、住み込みの家政婦の仕事を探していた。
 ある日、路子は会社に、大学教授・五十嵐等の家の仕事を紹介される。独身の五十嵐は数学の教授で、毎日を時間通り、スケジュール通りに生活している暗い感じの男だった。「あなたは、言われたことだけをやってくれればいいですから」 路子にそう言う五十嵐。
 広い家の一室をあてがわれた路子。鞄から夫の位牌を出し、語りかける。「これでひとまず落ち着けたわ」路子は、性欲の強い女だ。位牌を見ているうちに夫のことを想い出し、ひとりHしてしまう。「女盛りの私を置いて、ひとりでイッてしまうなんて、ヒドイ人!」と言って、位牌を激しく揺さる路子。すると、位牌から弘明の亡霊が飛び出て来た。路子のあられもない姿を見て、状況を察する弘明。「お前、また……!?」 路子に体を求められる弘明。「こんなんじゃ、おちおち死んでもいられない。誰かいい人でも見つけて、さっさと再婚してくれ」
 翌日。「今日は7時には帰って来ます。掃除と買物、それから夕食の支度をお願いします」と言って、五十嵐は大学に出かけた。言われた通り、掃除を始める路子。2階に、ひとつの部屋を見つける。中を覗くと、どうやら女性の部屋らしい。伏せられた写真立。見ると、ひとりの女性が写っていた。「奥さんがいたのかしら?」
 路子は、五十嵐が帰宅すると、2階の部屋のことを尋ねた。すると五十嵐は、「言い忘れてましたが、あの部屋には入らないで下さい。妻は――死にました」と答えた。悪いことを聞いてしまったと思い、詫びる路子。「どうか、クビにしないで下さい」
 しかし、おかしい。妻が死んだのなら位牌のひとつもあるはずだ。そんな路子の心中を見透かすように、五十嵐は言う。「あらぬ詮索をされるのは迷惑ですから言っておきます。妻は、私の助手であった男と浮気をし、その後、事故で亡くなったのです」
 それは、今からおよそ3年前。いつもより授業が早く終わった日のことだった。五十嵐が帰宅すると、妻の和代と助手の橋本公平がベッドで絡み合っていたのだ。何も語らなかったが、愛し合っていると信じていた妻が、よりにもよって自分の助手と浮気していたなんて。以来、五十嵐は研究に没頭し、数字以外は信用しなくなってしまった。
 「1+1=2。数字は嘘をつきません」 食事を終えた五十嵐は、学会提出の論文の準備のため、自室にこもった。
 部屋に戻った路子は、弘明の亡霊にたしなめられる。「お前はいつもそうやってお節介なんだ」反省しきりの路子であった。
 だが、路子は自室にこもりっきりの五十嵐が心配でならなかった。「少しは外の空気にあたらなくちゃ」朝、椅子に坐ったまま眠っていた五十嵐を起こした路子は、彼を散歩に連れ出す。
 近所の河原を歩く路子と五十嵐。最初は気乗りのしなかった五十嵐も、気持ちのいい風にあたるうちに心ほぐれていった。土手に坐って、辺りに咲く花を見る。すると、和代がよくその花を摘んでいたのを想い出す。今は、路子がそれを摘んでいる。
 夜。気分転換したお陰で研究が進んだ五十嵐は、お酒を飲んでみようと言う気になる。路子にも勧めてふたりで飲む。やがていい雰囲気。五十嵐は、路子の体を求めた。人の体温を感じるのは、お互いに久しぶりだ。燃え上がり、のぼりつめていくふたり。「中に出していいのよ!」 路子の中に、熱い白濁が放出された。
 ところが事後、五十嵐は薬指にはめていた指輪がないことに気づき、ひどく動揺する。「河原だ、きっと河原に落としたんだ。いつもそうなんだ、予定と違うことをするとロクなことにならない」 そう言って、部屋に行ってしまった。
 翌日、五十嵐の家に別の家政婦・大谷万里が派遣されて来た。路子は、責任を感じて自ら辞めたのだ。
 万里は、言われたことだけを黙々とこなす家政婦であった。路子のように無駄口は利かないし、五十嵐を散歩に連れ出すようなこともしない。再び、五十嵐に静かな生活が戻った。
 一方その頃、路子は河原で五十嵐の指輪を探していた。広い河原で小さな指輪を探すのは至難の業だ。しかも、誰かに見つけられて持ち去られた可能性だってある。それでも必至に探す路子の姿を見て、弘明の亡霊もそれを手伝った。
 数日後。お陰で、指輪を見つけることが出来た路子は、それをこっそり五十嵐の家に届けに行った。すると、五十嵐と鉢合わせした。五十嵐は、路子が戻って来てくれたと勘違いして、家に招き入れた。
 実はその前の日、五十嵐は万里をクビにしていた。黙々と言われたことだけをこなしていると思っていた万里だったが、五十嵐の留守にやって来たトイレの修理工(江沢真一)と淫らなことをしていたのだ。大学が早く引けて帰宅した五十嵐は、それを目撃してしまった。
 「全く、予定と違うことをするとロクなことにならない」そう言って、五十嵐は笑った。路子は、五十嵐が笑うのを初めて見た。五十嵐は、路子が見つけてくれた指輪をはめなかった。「これを落としたのは、きっと妻のことを忘れろということなんだ」
 再び、路子は五十嵐の家で働き始めた。だが、以前よりずっと家の中は明るくなった。ある夜、路子は五十嵐に告白される。「学会での発表が終わったら、旅行にでも行きませんか」それは、紛れもないプロポーズに違いない。嬉しさを隠せない路子であった。
 そして、学会の日。五十嵐を送り出した路子は、買物に出かける。「今夜の夕食は腕によりをかけて!」いそいそと戻って来ると、門の前に見慣れない女の姿。それは、和代であった。路子は驚くが、和代に声をかけた――。
 和代は、五十嵐を愛していた。だが、研究ばかりの五十嵐に不安を感じてもいた。「この人には、私なんか必要ないんじゃないかしら」 そんな心の隙間。和代は、橋本の求めによろめいてしまったのだ。夫を裏切ったことへの自責の念。和代は橋本とも別れ、自ら家を出た。しかし、一日だって夫のことを忘れたことはない。
 路子は言った。「旦那様も、奥様を愛してらっしゃいますよ。その証拠に、旦那様も、今も指輪を大事にされています」
 学会を終えた五十嵐が戻って来た。ダイニングへ入る五十嵐。そこにいたのは――和代だった。
 ひとり、トボトボと会社へ帰る路子。そこへ、弘明の亡霊が現れる。「お前もホントお人好しだな。でも、そこがいいんだ」
 1年後。別の家で家政婦をしている路子に、五十嵐夫婦から手紙が届く。そこには、「1+1が3になりました」と書かれていた。どうやら、和代が妊娠したらしい。喜ぶ路子に、弘明の亡霊が話しかける。「お前も、いい人が出来たら再婚していいんだぞ」 路子が答える。「その前にお金を貯めて、あなたのお墓を建てなきゃ。そうしょっちゅう出て来られたら、おちおち再婚も出来ないもの」
 なんだかんだと仲のいいふたり。女盛りの路子は、弘明の亡霊相手に火照った体を慰めるのであった。