コードネーム〝レイン〟これが、この物語の主人公である。
出会いは、こんな風に始まった。
予備校生、吉岡研は、毎日、学校にも行かず、パソコン通信で知り合った、コードネーム 〝レイン〟とパソコンデートを重ねていた。今だ、見ぬ相手に思いをつのらせてゆく研であったが、レインの方は、一向、会ってくれるケハイがない。
そんなある日の午後、研は、予備校仲間の純一、ケイと共に海に出かける。そこで研はさびしく入江にただずむ女性を見つける。
思わず、見とれてしまう研の前を、女は静かに通り過ぎ、待ち合わせしていたらしい男の車に乗り込む。
「お待たせしました。指名していただいた〝レイン〟です」
男は、いきなりレインにむしゃぶりつく。
「唇はダメよ」
男は容赦なく、愛撫してゆく。むき出しになった女の巨乳が、あらわになる。荒々しくしごきあげる男。白い肌が汗ばみ、段々と激しさを増すレインの喘ぎ声、奮いたった男のモノが女をせめあげる……。ピンクに染まった女の乳房をまさぐりながら、余韻を楽しむ男の手を振りほどく。
「これ以上やるんだったら、割増料金、項きます…」
レインの冷たい声に、ムッとなる男……。
そう、コードネーム 〝レイン〟とは、パソコン売春のための源氏名なのだった。
本名、平山真理、某女子大生、趣味で始めたパソコンを使って、秘密のアルバイトをやり出したのだ。
「でも、最近、何だか、むなしい気分になってきて……」
そんな時?偶然、研からコンタクトがあった。あどけない研からのメッセージは、真理の唯一のやすらぎになっていた。そして、この日、二人は計らずもめぐり合い、互いに名乗り合うこともなく、別れていった。
数日後、そんなこととは知らない研は、レイン=真理にデートを申し込む。
真理も研の一途なラブコールに、快諾する。
そんな研の話を開いた友人の純一は、デートのウォーミングアップと称して、うぶな研を夜の街に連れ出した。尻込みする研に、挑発的に近づいてきた女は、真理の仕事仲間のヤス子だった。ドギマギする研に、大人の色気をふりまきながら、リードしてゆくヤス子のテクニックにメロメロになる研だったが……。
「あんた、ただ乗りする気じゃないでしょうね。お金ちやんと払ってよ」
無情にも、真理とのデート資金はヤス子の手に……。
そして、研とのデートの日、真理はコールガールから足を洗う決心をして、最後のアルバイトに出かけて行った。
「お客さん 私、もう、この仕事辞めるの。だから、たっぷりサービスしてあげる……」
いつになく、念入りなサービスをする真理を見つめる客和田の目は冷ややかだった。真理が和田から金を受け取った瞬間
「平山真理だな、売春防止法違反だ!」
和田の手錠が光る。絶体絶命の真理。