カップルは人妻風の中年女と若い男だ。濃厚なペッティングが始まり、中年女か喘ぎ声を漏らし始めた。
バックミラーの中の二人の姿に、運転席の小百合は度胆を抜かれてしまった。若い男のいきり起ったものをあらわにして、女がフェラチオをしている。
小百合は恥ずかしさで言葉か出ない。彼女は人妻とはいえ28才になったばかりの、この業界では若きタクシードライバーで通っているのだ。
夫の研太は発明狂か昂じて、まともに仕事をしないのだ。発明といっても珍発明ばかりで、収入がまるでない。だが小百合はそんな夫が決して嫌いではない。いつかきっと大発明をしてくれる、と信じているのだ。それまでは私が頑張ればいい、大発明は小百合の夢でもあるのだ。
彼女は、男勝りだか、涙もろくて人情家、頼まれると嫌と言えない性格で、夫をこよなく愛している。ただ、少しばかり欠点がある。それは多情ともいえるくらいにセックスが好きなのだ。
乗客のカップルはついに本番を始め出した。小百合の存在などとっくに無視しているように、女が悶え声を上げている。小百合は既に我慢出来なくなっていた。二人に刺激されて、股間か濡れている。
暫くして二人は絶頂を迎え、静かになった。二人は乗車した場所まで戻って車を降りた。
女は、タクシーのなかですると燃えるの、他ではだめなの、御免なさい、と言いながらチップを弾んで降りて行くのだった。
それにしても小百合は男が欲しくてたまらない。小百合は自宅へ駆け上がった。
寝ている夫の研太をたたき起こして、自ら全裸になると、のしかかって行った。研太は面食らいながらも、小百合の相手を務めた。いつもの事なのだ。
すっきりした小百合は、もう1稼ぎするために出掛ける。研太は満足げな小百合をあくび交じりに見送るのだ。
数日後、いつものように小百合は縄張りの街を流していた。
客は、高級なスーツを着ているものの、少し疲れたような中年のサラリーマンだった。男は単身赴任しているらしく、その生活の辛さを小声で話し始めた。小百合が相槌を打ち、優しく声をかける。男は感激の余り、涙ぐみながら切々とつらいわけを語り出した。
男は車が独身生活を送っているマンションの前につくと、大声を上げ泣き出した。誰もいない真っ暗な部屋へ、一人きりでは戻れないと泣き、車を降りようとしないのだ。小百合は男と共に部屋へついて行くよりなかった。
部屋へ入ると、帰ろうとする小百合を男は拝むようにして押し留どめ、話を続けるのだ。小百合は困り果てたが、まだ涙ぐんでいる男を前に帰ることも出来ないでいた。
男・平岡は愚痴をさんざん言ったあげくに、長い間女を抱いていない。この年でマスターベションをしている、一度だけでいいから相手をしてくれないだろうか、と言い出したのだ。
平岡は何度も頭を下げ、涙ながら訴え続けるのだ。人にものを頼まれたら嫌とは言えない性格の小百合は気持ちが揺らいでしまった。とそこを見透かしたように、平岡が小百合を押し倒し、その身体をまさぐり出した。
小百合は抵抗しながらも、次第に身体を開いて行ってしまった。そしてついには喜びの声を上げたのだ。
事が終わると平岡は金を差し出した。小百合は売春婦じゃないから、とその金を受けとろうとしない。
数日が何事もなく過ぎて行った。研太が失敗にもめげず、また新しい発明に取り掛かり出した。小百合はそんな夫を励まし、仕事へ向かう。
ある日、小百合の車に、若い女か駆け乗って来たのだが…。