数年前、当時大学生だった美佳理は、とある廃屋で何者かにレイプされたという過去があった。その時に受けた、アキレス腱の傷もまだくっきりと残っている。海里はそのレイプ現場を目撃してしまったのである。屈折した姉への愛情が、海里をレイプ行為へと駆り立てているようなところがあった。
一方、美佳理自信も過去のレイプ体験が心の傷となっていた。世間の注目を浴びるキャリア・ウーマンではあっても、その実、相談に来る女たちの悩みを聞くことによって、ある種の優越感を感じているようなところが美佳理には少なからずあった。そして、男に対しては支配的なSEXを好んだ。美佳理はホストを金で買い、モノのように扱うことで自分の性的欲求を満足させている。そんな奇妙な姉弟に裕子は興味をそそられる。わざとカウンセリングを受けに行き、海里をおびき寄せ、撮影したレイプのビデオを見せて脅迫する。
「今度のレイプはいつ?私も仲間にしてよ。ねえ、レイプって気持ちいいの?」
好奇心をむき出しでせっついてくる裕子。やむを得ず海里は、裕子の目の前で女子大生・真理子をレイプするのだった。泣き叫ぶ真理子だが、裕子は平然上そのシーンをハンディカメラで撮影していく。
「どんな気持ちですか?少しは感じますか?」
海里と裕子の聞には、次第に共犯意識が芽生えていた。が、裕子は再び美佳理の元を訪れる。海里が隣室で盗聴しているであろうことを知っていながら「レイピストがこのマンションに入って行くところを見ました。案外犯人は近くにいるのかも知れませんね」
などとほのめかすようなことを言ってしまう。海里は、姉に自分の犯罪を知られてしまった怒りを、当然のごとく裕子にぶつけていった。しかも、姉がレイプされた廃屋に呼び出し、姉がされたのと変わらぬやり方で裕子を犯していく。
「レイプが気持ちいいかどうか、人に聞くんじゃなくて自分で味わってみろよ」
海里は裕子を激しく犯していく。裕子はヴァージンだった。それでも容赦なく腰を突き立て、逃げようとする裕子の足をナイフで切り裂き、その体内にスペルマをぶちまけるのだった。この時もカメラは回り続けていた。裕子は初めて「撮られる側」になったのである。そして海里は、裕子を犯しながらもイメージの中では姉をレイプしている自分を知っていた。
裕子をレイプしたビデオテープ、そして、美佳理がかつて被害にあった時の赤いハイヒール。海里はそれを大切なプレゼントのように美佳理に贈った。
「海里……アンタ、あの時見てたのね。私がレイプされたのを」
「姉さん……」
弟が本当にレイプしたかったのは私なのがも知れない。美佳理は自分にしがみついてくる海里を拒否することは出来なかった。 そして後日、舞台の幕を開けるように美佳理たちのマンションのカーテンが開かれた。裕子は再びハンディカメラを手に、反対側のビルの屋上からそれを撮影している。明らかにカメラを意識するように繰り広げられる妨と弟のSEX。海里は奴隷のように、美佳理の肉体に奉仕していた。
「すべて世はこともなし……か」
そうつぶやきながらファインダーを覗く裕子の顔は、今までと違い、どこか無表情であった。