あやめは亮一と結婚前提につき合っているが、どうしても打ち明けられない悩みがあった。亮一にすべてを話してしまったら、きっと嫌われるだろう。そう思うとあやめは一人で耐えるしかないと自分に言い聞かせた。
悩みの種は毎日ポストに投げ込まれてくる束になった督促状。始めはバリ島にローンで行ったことが原因であった。返済のために作ったカードかあれよあれよという間に増え、今は自己破産寸前になってしまった。
ある晩、男・柿木が尋ねて来た。あやめはカード会社の取り立てかと居留守を使っていると、柿木はドア越しに声をかけた。 「取り立てじゃあないんです。私はあなたのような方を救済している者です。お話させていただけませんか」
今となったら、藁にもすがりつきたいあやめは、柿木を部屋に入れ、話を聞いた。柿木は持参のTV電話を取り出し、ひと月60万になるアルバイトの説明を始めた。そのアルバイトは、テレクラのようなものだった。会員からのTV電話に応じて、ちょっとエッチな話をしたり、会員の要求どおりの映像をTV電話に送ってやるのであった。ローン地獄のあやめには、月60万というお金は喉から手が出てしまうほど欲しい。少々の恥は覚悟てこのアルバイトを始めた。
柿木邸の一室にある電話ルームに待機したあやめ。さっそく目の前の電話が鳴った。このTV電話クラブの常連でもある竹田は、いきなりお尻の画像を送って欲しいと一言ってきた。あやめは戸惑ってしまう。時間で料金の上がるシステムになっているので、竹田は容赦なく催促してくる。仕方なTV電話にパンチラ姿を送る。TV電話から興奮した竹田の顔か写しだされる。「もっと足を開いて」から「パンティを下げて」へとエスカレートしてくる竹田。あゆみは極度の緊張と恥ずかしさで、一日のバイトを終えるとドッと疲れが出た。
初日はもうやめようと思ったあやめだったが、女は環境に馴染みやすいと言われているように、数日たつと何でもなくなってしまった。このまま順調に稼げれは借金も思った以上に早く返せると思ったあやめは今まで勤めていた会社を辞め、このバイトに専念した。
このクラブにはあやめの他にもローン地獄で苦しむ主婦や女子大生がバイトをしていた。
主婦の沙也も夫に内緒でしたカードローンの返済のために来ていた。沙也は少しでも多くの指名を取るため、客の要望があると『ご対面』と言って、客とデートをしていた。もちろん客はSEXを目的としている。一回10万円のチップが入ってくる。
女子大生の真美子も早く借金を返済するために『ご対面』をしていた。
当然サーヒスの悪いあやめの指名が減ってきた。だいふ返済は終わったが、またまた残っている。そんな時に柿木から『ご対面』をしないかと持ちかけられる。
「TV電話だけじゃ、どうしても客の方がフラストレーションがたまるんです。だから、ご対面のできる子に集中するんです」
客の指名がなかったら、たとえあやめが朝からいてもお金にならない。
翌日もそのまた翌日もあやめを指名する電話はなかった。会社を辞めてしまったあやめにはもう収入源はここしかない。あやめは迷った揚け句、竹田と『ご対面』をすることにした。
TV電話でも変態っぽい竹田は、あやめを見るとお尻にむしゃぶりつく。変態じみた竹田の責めが伝わってくると、あやめも知らず知らずのうちに大胆になっていく。いつのまにか積極的に竹田を受け入れてしまったあやめ。
部屋に戻ったあやめは、竹田からもらった10万円を前に後悔してしまう。
「いくらお金のためとは言え、SEXを楽しんでしまった浅はか私」そこへちょうど亮一がTV電話を持ってやってきた。
「会社の奴が貸してくれたんだよ。これ、今流行ってるんだって」
驚くあやめたが、無理に平静を装っている。何も知らない亮一はプッシュボタンを押した。女の声が流れ、二、三のやりとりのあと、女性の下半身の画像が送られてくる。「あ-つ!」と声をあげそうになるあやめ。亮一はまだ気が付いていないが、その下半身は間違いなくあやめのものであった。次の画面もその次ぎの画面もあやめのものである。「女の私にこんなもの見せて、やめましょ!」
あやめは怒ったふりをしてTV電話を切った。
翌日、アルバイトを終えたあやめは、帰るふりをして柿木の動向を探った。画像が残っているとしたら、この電話ルーム以外には考えられない。そう思って、あやめは張り込んでいた。すると中から聞いたこともない女の声が聞こえてくる。
「恥ずかしいわ、そんなボーズ…」
そっと中をのぞくと、見知らぬ女が、ネグリジェ姿で電話をしていた。よく見ると女の格好をした柿木てあった。柿木はあやめたちがバイトで客に送った画像をダビンクして、二重に稼いていたのであった。柿木の前にあやめは立ち塞がった。驚いて言葉もない柿木であった。
あやめはこのことを、ネタに残った借金を柿本に肩代わりさせ、バイトを辞めた。
ローン地獄から解放されたあやめは、久しぶりに晴れ晴れとした気持ちで亮一に抱かれた。