千絵見は、高校を卒業した後、仕事を転々として苦労したが、今では下着の訪問販売で成功し、夫の多可志とともに、会社を経営している。多可志の祖父の陣市の家に住んで、生活も安定した今、これまで恨んでいた実の父に、なぜか会いたくなった。ちゃんと独立してやっている自分を、生みの父に見せたかったのかも知れない。
最初は涙ながらの感動の再会だったが、後妻の里津子とともに近所に引っ越してきた父・逸朗と頻繁に会うようになると、千絵見は自分が父について何を知っていたのだろうかと思うようになる。定職があるようでもなく、また後妻の里津子がどうも正体不明というか、いまいちよく分からない人物なのだ。
千絵見や多可志と、それほど変わらない若さだが、妙に色っぽく、何を考えているか分からない。多可志や祖父の陣市が、里津子のセクシーな雰囲気に甘いのも、千絵見には気に入らない。
多可志が逸朗の家で酒を飲み、酔っぱらって寝入ったとき、隣の部屋から里津子の喘ぎ声が聞こえてくる。驚いて、そっと覗くと、逸朗の姿はなく、里津子がオナニーしている。スケベそうな逸朗だが、セックスしていないのだろうか?それにしても、里津子のエロティックな姿に、多可志は惹きつけられる。
また、多可志や千絵見がいないときに、陣市の家に現れた里津子は、床につきがちな陣市の身の回りの世話をする。里津子の体から発散する色気に、思わず手を伸ばしてしまう陣市。しかし、里津子はとがめることなく、逆に股を開いて、奥の秘密の場所を見せてくれる。
一方、逸朗は逸朗で、千絵見の片腕のセールスレディ、由宇に密かにアプローチし、関係を持つ。逸朗の冷たく、卑劣な正体を見抜いた由宇は、千絵見の信頼を裏切ったという思いもあって、千絵見に仕事を辞めるという。はっきり明言はしないが、父と義母に気をつけたほうがいい、と言って去る由宇。千絵見の知らないところで、何が起きているのだろう?千絵見は父を聞いつめるが、自分は無関係だと言うばかりだ。
由宇がいなくなって困る千絵見に、父は里津子を手伝わせると言う。とりあえず次のセールスレディが応募してくるまで、しかたなく里津子に手伝わせることになった。
千絵見の不在の時、里津子は多可志に仕事を教えてほしいという。思わずヤニ下がった多可志は、里津子にセクシーな下着をつけさせ、商品の説明などをする。ふと気づくと、パンティが濡れれている。驚いて里津子を見ると、彼女は多可志を見つめながらオナニーを始める。いつかの夜の、里津子のオナニーを思い出す多可志。
里津子は、逸朗は糖尿病で、性的に駄目だと言う。里津子の言うがままに、愛撫し、厳しいセックスをする多可志。その日以来、二人は密かに関係を続ける。
ところが、ある日、千絵見が二人のセックス現場を目撃する。どうも、里津子が千絵見に見せるように仕組んだらしい。平謝りに謝る多可志。千絵見は由宇のことを思い出し、父夫婦の仮面をかぶった、この悪魔のような二人は、自分を破威させるために過去からやってきたことに気づく。
千絵見は逸朗に、今度は自分から父と娘の緑を切ると宣言する。この近所からどこかに引っ越してほしいという千絵見に、逸朗はふてぶてしく笑い、千絵見と多可志こそ、この家を出て行かなければならないと言う。祖父の陣市が、里津子の言うがままだったのだ。二人の代わりに、逸朗と里津子がこの家に住むことになる。
手ひどく傷ついた千絵見と多可志は、この町を去る。下着の訪問販売の仕事には、逸朗と里津子が悠然とおさまっていた。