理容店の女房 夜這い寝間

  • 2019/11/13
出演者:
瀬能司
平沢里菜子
風間今日子
監督:
新田栄
上映期間:
2019/11/20 - 2019/11/26
上映時刻:
10:00~
ジャンル:
シアター:
夜。商店街の理容店の女房・星野夕子が眠っていると、そこへ夜這いをかける黒い影。影は、夕子の布団をまくると、彼女の体に悪戯を始め、勃起したペニスを彼女の太股に押しつけた……。
 と言うところで、目を覚ました夕子。店の控え室で、ついうたた寝をしてしまったようだ。
 一方、主人の星野文夫が店番をしていると、近所の酒屋の店主・岡本進也がやって来た。「いらっしゃい!」威勢よく立ち上がる文夫だが、進也は夕子にやってもらいたがった。夕子に髪を切ってもらうと、福を招くと言うのだ。この前も競馬で大穴が当たったと大喜び。そこへ、奥から夕子が現れた。つまらなそうな文夫は、「パチンコに行ってくらぁ」と店を出て行く。
 髪を切り、ヒゲを当ててもらっている進也。その顔に、夕子の乳房が当たる。進也は、夕子のお尻に手をやりながら、夕子に聞いた。「今度、旦那が釣りに行くのはいつだい?」「今日の夜よ」「じゃあ、今晩行くとするよ」そう、実はふたりは不倫の仲だった。大の釣り好きの文夫が、夜釣りに出かける日を狙っては、進也は夕子に夜這いをかけていたのだ。勿論、髪を切ってもらうと福を招くと言うのは嘘。進也は、夕子と寝ると福を招くと思っていた。
 夜。岡本酒店の母屋。妻の一枝が、ひとりで伝票の整理をしている。夫の進也は、またどこかへ飲みに行ったのか姿が見えない。淋しそうに、顔を伏せる一枝であった。
 同じ頃、文夫が釣りに出かけた理容店。その母屋に忍び寄る進也の影。誰も見ていないのを確かめて、彼は鍵の開けられた裏の窓からこっそり中へ入って行く。
 和室の寝間では、夕子が眠っている。その時、襖が開いて進也が入って来た。そして、夕子の布団に潜り込む。シーツの波の上、ふたりは愛し合った。
 別の日。夕子が店番をしていると、必死の形相をした商店街のいかず後家・亀崎晴子が駆け込んで来た。「どうしたの、晴ちゃん。そんな顔して?」すると晴子は、「噂を聞いて来たの。夕子さんに髪を切ってもらうと、福を招くんですって? 私、今日、30回目のお見合いなの。ゼッタイ、成功させたいの!」
 だが、既に美容院に行った晴子の髪はセットされている。戸惑う夕子に、晴子は言った。「下の毛をカットして。下の毛だって、毛には違いないでしょ?」 断りきれない夕子は、急いで店のシャッターを降ろし、したこともない下の毛のカットをしてやった。
 お見合いの会場。夕子と相手の鶴田剛が、緊張した面持ちで向かい合って座っている。しかし、ふたりの間に垂れ込める沈黙。果たして、お見合いの行方は――
 翌日。夕子が客の頭を洗髪していると、必死の形相をした晴子が駆け込んで来た。店に入って来るなり、夕子に抱きつく晴子。実は、お見合いが成功したと言うのだ。しかも、その日のうちにHもした(晴子と剛のカラミ)。嬉しそうに報告する晴子を見て、夕子は思う。「福を招くって、まんざら嘘でもないのかしらん」
 夜。文夫がまた釣りに出かけて行く。それを送り出した夕子は、いそいそと裏の窓の鍵を開けておくと、寝間で進也が夜這いをかけて来るのを待った。
 ところが、店の表では――なにやら、進也が若い男(松尾哲平)と話をしている。実は、哲平は進也の親戚の息子。司法試験を控え上京して来たのだが、自信がないと言う彼に福をお裾分けとばかり、今晩一晩だけ夜這いを譲ってやろうと相談していたのだ。
 何も知らない夕子は、布団の中で今や遅しと夜這いを待っている。そこへ、入って来る黒い影。夕子が抱きつくと、それは見知らぬ男(哲平)だった。慌てて事情を説明する哲平。しかし、既に濡らして準備していた夕子は、哲平を受け入れてやる。それに、哲平のイチモツは若くて硬くて大きくて、それだけで魅力的だったのだ。
 さて、哲平に夕子を譲ったお陰で暇を持て余してしまった進也。居酒屋やスナックを何軒かはしごした後、漸く自宅へ帰ろうとした、その時! なんと、釣りに行った筈の文夫が、家の裏の窓から入って行くのが見えた。「ど、どういうことだ?」
 こっそり家に入って覗き見ると、一枝と文夫がHの真っ最中。釣りに行っていたとばかり思っていた文夫は、実は自分の女房に夜這いをかけていたのだ。ショックで、情けなくて、滑稽で、進也はその場に座り込んだ。
 別の日。夕子が客のヒゲをあてていると、進也が入って来た。哲平が、一次試験を通過したことを報告する進也。嬉しそうに微笑む夕子に、しかし彼は別れを告げる。あれから、進也は嫉妬にかられ、一枝への愛を再認識したのだ。「分かりました」夕子は、そう言うしかなかった。
 夜。文夫はまた釣りに出かけている。寝間でひとり眠っている夕子。その時、襖を開けて黒い影が入って来た。夕子の布団に潜り込み、体を触る影。!として、夕子が目覚めた。明かりと点けると――それは、釣りに行った筈の文夫だった。文夫もまた、進也とよりを戻した一枝にふられ、夕子への愛を再認識したのだ。「どうして?」 そんなこととは知らない夕子が尋ねると、「こういうのも、変化があっていいだろう?」と文夫は答えた。元の鞘に収まった夫婦は、朝まで何度も盛り上がった。