佐野は大得意の経理部長からのスワッピングの話を、無下に断るわけにもいかず、妻の秀子を説得する。秀子に「イヤだわ、そんなこと…」といってはねつけられた。そんな秀子を必死になだめ、「とにかく顔を出すだけでいいから…」と、清川夫妻と会うだけだという約束をした。
二部屋続きのマンションで二組の夫妻は会った。双方とも始めはぎこちなかった。お互いのパートナーをれ替え、別々の部屋に引き上げていった。秀子はジッとうつむくままで、清川は手の出しようのないまま、隣室の襖をそっと開けた。隣室では佐野と清川の妻・佳代がお互いの体をまさぐりあっていた。秀子は無理やりのぞかされるが、夫と佳代の恥態に思わず目をそむけた。興奮した清川が秀子の乳房を掴むと、悲鳴をあげて飛び出していった。
夜の町をふらつく秀子の耳に、夫の愛撫で悶える佳代のあえぎ声が何時までも離れなかった。
二日後、佐野夫婦は斎藤から食事に誘われた。佐野は斎藤じきじきの誘いに喜んでいたが、秀子は斎藤の舐めまわすような視線が耐えられなかった。
何を隠そう斎藤の目的は、秀子を抱くことだった。事前に清川夫婦のスワッピングで免疫をつけておいて、その後自分が楽しもうという魂胆だった。そのために秘書の春絵を連れてきていた。秀子は酔い潰れるまで酒を飲まされ、気がついた時は例のマンションの一室に寝かされていた。
ぼんやりとした秀子の視界に、少し開いた襖から夫と春絵の絡みあう姿が飛び込んでくる。意識がはっきりしてくる秀子に空しさが込み上げてきた。「なぜ、夫がこんなことをするのだろうか…」突然、秀子はゾクッとするような快感が走った。驚いて起き上がろうとするが、斎藤が足首をつかんでいる。ハッと気がつくと、パンティ以外は何も身に着けていなかった。斎藤の舌が足の指を舐め回す。その舌が大腿を這い、股間を襲う。「ウッ」と声をあげる秀子。隣室からは夫の腕の中であえぐ春絵の声が聞こえてきた。秀子は夫のそんな姿を見ていると興奮がスーツと覚めていった。斎藤の愛撫を受けながら秀子は、夫との夫婦関係が壊れていくようで悲しかった。斎藤が強引に挿入しようとしたが、秀子は強烈な痛みを感じ、斎藤を思わず跳ね除けた。
家に帰っても秀子は孤独だった。夫は斎藤の機嫌を損じたといって、ヤケ酒をあおっていた。
しかし、数日後、斎藤からもう一度スワッピングをさせてくれという電話が入った。佐野はいやがる秀子を強引に連れ出した。 そこには斎藤と春絵、そして見知らぬ男・宮川が目を伏せて座っていた。男と目があった秀子は驚きの声をあげた。宮川は秀子の初恋の相手で、バージンをささげた男でもあった。
秀子は宮川とふたりつきりになると、懐かしさがこみあげてくる。まるで時間が遡っていくように、あのころのふたりに戻っていく。そして、秀子は進んで裸になり、宮川に抱かれた。
隣室で見ている斎藤は、秀子の変貌に驚く。ベッドで激しく悶える秀子は別人のようであった。斎藤は早く宮川が交代してくれないかとソワソワしていた。