諏訪内春江(40代)は亡き夫か営んでいた古道具屋を継いで経常している。しかし、業績は思わしくなく店じまい寸前の状態だった。
今日もまた、その男、日野が来た。彼はほとんど毎日店に顔を出し、ある油絵に見とれていた。
日野が気になっていた春江ほ、初めて声をかけるが、その油絵は非売品になっている。日野は売ってくれませんかと熱心にいう。
油絵には若き日の春江が描かれていて、描いたのは亡き夫だった。春江にしてみればこんな絵を売る訳にはいかないと思っている。それなら春江の絵をかせてくれと頼む日野。春江は、店を閉めるという理由で、絵を譲ることにするが、今度は絵を描かせてくれと利かない。
アトリエで春江のデッサンをする日野。彼は少しずつ過去の話をする。生活に困っていた学生時代、古道具屋のオヤジさんが、二束三文の骨董品を相場より高く買ってくれたという。あれから十数年が経ち、懐かしくなって久々に覗いてみたということだった。オヤジさんにお礼を言おうと思っていたのだ。しかし、日野は当時から春江のことが気になっていて、ほのかに憧れていた。そのときの気持ちが突然あふれ出し、春江を抱く日野。春江も抵抗することなく受け入れる。
今、日野は芸術家として成功し、彼の作品はそこそこの値段で売れるようになっている。しかし、春江は貰った彼の絵を売ることなく、店を閉めることにする。
<第二話>
閑静な住宅の一角。吉田茶道教室の看板がある。
茶室で茶を点てる家元の秋子(30代)弟子の松任谷昌之と二人だけ。松任谷は秋子に相談を持ちかける。彼女が出来たが、実は童貞でやり方が分からないと言う。そんな相談をされても困ると思った秋子だが、弟子のために手取り足取り女扱い方を教える。
また、別の日。秋子の弟子、真紀が来て、秋子に相談をする。彼女は百戦錬磨で、相手の男にヤリマンだと思われたくないと言う。彼は資産家の一人息子で家柄が良く、母親の目にかなわなければいけないのだ。そこで処女らしく接する作法を教えて欲しいとのことだった。
またまた、手取り足取り処女らしい恥じらいを教える秋子。
また、別の日。今度は松任谷と真紀がいっしょにきて、結婚が決まったので、吉田夫婦に仲人をして欲しいという。そこで初めて秋子は二人が付き合っていたことを知る。
吉田と秋子は快く引き受けうる。
松任谷と真紀から別々にお礼を言われる秋子は少々複雑な気持ちになる。
<第三話>
数ヶ月前、若山夏美(20代)はスナックを経営する若山の後妻二なる。しかし、それ以来、息子の明がぐれはじめ、しばしば、店の売り上げを持ち出して遊び回り、競馬につぎ込んでいた。それもそのはず夏美は明の同級生で彼女だったからだ。事あることに父親と衝突する明。
その日も、明は店の金を持っていこうとする。それを止める夏美。明は逆上して昔のように関係を持とうと夏美を襲う。抵抗する夏美。
そこに若山がやってきて、明をしかる。しかし、明は父親を殴り飛ばす。その反動でなき母親が大切にしていた陶磁器の人形が落ちて割れてしまう。そのままプイと飛び出していく明。
夜の性生活も今ひとつ盛り上がらない。そんなある日、誰かに覗かれていた。ふと気が付いた夏美は窓を開けて犯人を捜す。見えたのは走り去る女の姿だった。不思議に思う夏美。
数日後、店に夏美が行くと新しい人形があった。そして、奥から女装した明が出てくる。心を入れ替えて今日から店で働くという。 楽しそうに客の対応をする明。客の受けも良い。
新たな問題に再び頭を抱える若山。「これでいいのよ」とさばけた夏美。