それをそばで、真面目な顔で、メモをとりながら見ている若い女がいる。フリーライターの峯村リエ子だ。三日前…。リエ子は出入りしている編集プロダクションの社長、益田に仕事の依頼を受けた。最近女性向けの逆ソープ倶楽部が会員制で密かな人気を集めている。益田はこの倶楽部を、女性の視点がら取材してほしい、新聞社では面白かったら連載にしても良いと言っているという。リエ子は風俗記事というのが多少引っかかったが、新聞の連載はやってみたい仕事だった。益田の仕事を引き受ける。リエ子の恋人の秋山は、逆ソープの話を聞いて顔をしかめる。しかしリエ子は秋山を説得して、何とか納得させる。セックスする二人。秋山はリエ子に言う。キミが逆ソープしてもらうんじゃないだろうね。リエ子は一笑にふす。
そんな経過を経て、リエ子はこの逆ソープ倶楽部の取材にきた。それにしても、女性客に対する懇切丁寧な奉仕ぶりに、目を丸くする。秋山もこのくらいしてくれればいいのに目の前でプレイは盛り上がり、セックスになだれ込んでいく。びっくりするリエ子。そこまでやるとは思っていなかったのだ。思わず逃げ出そうかと思うが、この記事を仕上げないと連載はもらえない。ライター根性で、上気しながらも観察し、メモを取るリエ子。
部屋に帰り、原稿をまとめる。しかし、プレイの熱気が目の前をよぎり、集中できない。しかたなくオナニーしてから、ワープロを打ち始めた。
原稿を益田に見せるが、渋い顔をされる。女の視点が出ていない。この事務所の海原に書かせても良かったんだと言う益田。しかし、それを聞いた海原が、峯村さんは風俗記事は慣れていないんだからとかばう。
原稿の書き直しを命じられたリエ子は、倶楽部に電話し、再取材を依頼する。今回は、サービスを受けている女性の話も聞きたい。快く引き受ける倶楽部。例によって、プレイに立ち合った上、お客の話を聞くリエ子。逆ソープの取材を続けていると聞いて、不気嫌な秋山。リエ子は思わず、あのテクニックの素晴らしさを漏らす。むきになってリエ子を愛撫する秋山だが、あのマットの上で喘いでいる女性たちの方が、自分の何倍も快感を味わっているように思えるリエ子。
益田に原稿を見せると、益田はイマイチだと言いながらも、ほぼ満足の様子。新聞社のデスクと打ち合わせると言って出ていく。
リエ子が海原に礼を言うと、海原は風俗記事のコツを敢えてくれる。いかに欲情する男の視点で見て行くか。男のライターの場合は体験取材があって、これによって読者が疑似体験できる。リエ子ちゃんは女だから、そう簡単にできないだろうけど。体験取材!考えても見なかったことだ。自分が逆ソープしてもらう。そういう方法もあったのだ。しかし、まさかそんなことをするわけにはいかないだろう。ただでさえ秋山が反対してるのに。
リエ子の記事は好評だった。連載することになる。張り切って記事を書き、また取材依頼の電話をする。独身の若い女のプレイを取材し、話を聞く。恋人もいるがオルガスムスを初めて体験したのは、この逆ソープ倶楽部でだという。セックスと恋愛や結婚は分けなくちゃいけないわ、という彼女の言葉に、秋山を思い出してしまうリエ子。当初は好評だった連載だが、益田にマンネリを指摘されるようになる。リエ子自身も、客の話を聞いているうちに、迷いが出てきたことは確かだ。思い切って体験取材させてくれないかと電話するリエ子。倶楽部は引き受け、特別のテクニシャンを用意するという。
当日、リエ子を迎えたのは、いつもの若い男ではなく、目隠しに蝶ネクタイの、ベテラン風の男だった。逆ソープテクニックを自分の体で味わうリエ子。すごいわ、こんなエクスタシーがあったんだ!何度もイッタリエ子は、絶項の中でいつもの癖で男の首筋に歯を立てていた。
体験取材のおかげで、会心の原稿ができた。リエ子は意気洋々と事務所に行く。絶賛する益田。しかし、ふと気づくと益田の首筋になにか赤いものがある。キスマーク? 歯形 それはいつも秋山に文句を言われるリエ子の歯形ではないか!。益田と海原は、リエ子が気づいてないと思って、ウハウハ笑っている益田のサイドビジネスの宣伝の片棒をかつがされた上、益田とセックスしてしまったのだ。悔しがるリエ子。
数週間後、同じ新聞に逆ソープ倶楽部の裏側、サイドビジネスを自分で書き立てて宣伝する益田のやり方がバラされていた。あわててデスクに電話すると、リエ子の持ち込み原稿だと言う。直でリエ子に仕事を頼むことにしたと言うデスクの声は、益田に冷たかった。
その頃リエ子は、秋山に逆ソープのテクニックを敢えてSEXを楽しんでいた。