その時、『ピンポーン』とチャイムの音が君恵の快感を壊した。ハッと我に返った君恵は濡れたバイブをクッションの間に隠し、あわてて玄関に向った。
妹の尚子がフィアンセの友之を連れて、婚約したことを姉に報告しに来た。尚子も君恵が夫を亡くしてまだ日が浅いことを気にかけながらも、私は私と割り切っていたところもあった。友之は勧められた座布団の下から、思いがけない物を見つけてしまった。濡れたバイブ、こんな物がなぜこんな場所に。まるで自分が誤ちを犯したように胸がドキドキしてしまった。お茶とケーキを運んできた君恵の少し上気した顔を見て、友之はアッと声を上げそうになった。
尚子と二人きりになった友之は、あと少しで自分の妻になる尚子の触りごこちのいい乳房を揉みしだく。どこをどう触ると尚子が濡れるかは知り尽くしていた。少しSEXにバリエーションが欲しいと思った友之は、尚子に君恵が使っていたバイブの話をした。「えっ!うそ」一瞬驚いた尚子だったが、その辺は姉妹でも割り切っているようだ。そのことにかこつけて友之がオナニーをさせると、ためらいながらも股間をまさぐりだした。見ることがこんなに刺激があるなんて思いもしなかった。友之は細い指で秘部をかき回しながら、友之以上に興奮している尚子に覆いかぶさった。いつもより激しく燃え上がった。
翌日、君恵が買い物から帰ってくると、ドアの前に友之がいた。友之は尚子の姉である君恵を抱くつもりでやって来た。熟れきった君恵の体を思い切り突きたい衝動にかられた。
男は愛とか恋とか訳のわからない理屈がなくても女を抱くことができる。友之は不信がる君恵の後から部屋に入った。
「相当たまってんですねえ……」
友之はバイブのことを告げ、有無を言わさず君恵を押し倒した。君恵は一応抵抗を見せたが、愛撫されていくうちに、君恵の方から友之に抱きついていった。友之が君恵の中に入ってくると、今まで押し殺していた君恵の欲情がせきを切ってあふれだした。「ずっとヤッてて!一日中突っ込んでてちょうだい!」
君恵は狂ったように腰を振った。
君恵の夫・浩一は、死ぬ半年ぐらい前から君恵を抱こうとしなかった。君恵は女が出来たのかと疑っていたが、ただの浮気ではなかった。
ある日千秋という見知らぬ女が訪ねてきて、初めて夫の秘密を聞かされた。
「あいつ、マゾ男だったのよ」
浩一の愛人だと名乗る千秋は、誇らしげに浩一とのSMプレイを君恵に聞かせた。
生きていた時だったら責めることもできたが、死んだ今となってはののしることもできない。
君恵は浩一の遺影に向ってバイブオナニーをして見せる。男が欲しくてもオナニーでまぎらわせていた自分が、貞淑づらをしていた自分がくやしくてしかたなかった。
けれども、その日を境に、君恵は吹っ切れるものがあった。
尚子と友之の新居に浩一の部屋を提供することを申し出た。妹思いの姉かと思うが、君恵の本心は全く別の所にあった。夜になると尚子たちの寝室に忍んでいく。激しい若い二人のSEXを覗きながら、コレクションのバイブでオナっていた。たっぷり楽しんでから男を探そうかと君恵は考えた。今までずっと我慢していたことを全部掃きだして、欲望のままに生きていこうと笑んでいた。