スタジオは12時を回り今度は八木沼淳子(25)アナがニュースを読んでいる。可奈江とは反対にどことなく落ち着かない淳子。両足をもじもじさせ、時折息を乱す。怪訝に見守るスタッフ達。そんな中、にやりと笑みを浮かべ見つめる前田が、手元のリモコンを操作する。
そんな可奈江に恋人の樋口芳美(23)の前でうっとりと目線を走らせる竹田光彦。機会があれば一度会いたいと心の中で願っているのだ。
可奈江は芳美の先輩でしかも人気絶好調の売れっ子女子アナ。ニュースに興味があるのか、可奈江に興味があるのか?あまりにも真剣な光彦の眼差にし少し焼ける。
そして、とうとう光彦にもそのチャンスがやってきた。なんと可奈江がTVの企画で芳美を取材するというのだ。天にも昇る気持ちで喜ぶ光彦であった。さらに、今度局に見学をしに行っても良いという約束まで出来たのだった。
可奈江は局に戻り打ち合わせが一通り済むと、プロデューサーの前田からお呼びがかかる。朝のニュース番組を担当してみないかと言われ、天にも昇る気持ちの可奈江。但し、交換条件として可奈江の身体を求めようとする前田。拒絶するが、天気コーナーを降ろすぞと背され、窮地に陥る可奈江。「番組の担当になるために、みんな私の言うことを聞いてるんだがね」とりあえず考えさせてくださいと、その場を逃げ出す。
アナとして出世するためには、あの前田に抱かれなければならないのか。
自室で落ち込む可奈江。もしかしてライバルの淳子も…?あの、トイレで見た、前田に抱かれる淳子の姿が脳裏から離れないでいる。しかし、なにやら思いついたように足取り軽く立ち去る。 可奈江がお土産を片手に向かつたのは芳美の家。しかし、芳美は出かけいて留守のようだ。帰ろうとして振り返るとコンビニの袋を抱えた光彦が帰って来た。慣れた手つきで家の中に招いてくれた光彦に、少しとまどいを覚える可奈江であった。
芳美を取材したときから、光彦の存在は気になりかけていた可奈江は二人が同棲していることを知り、少しショックを受ける。しかし、可奈江にゾッコンの光彦は、酔っぱらって帰ってきた芳美を寝かしつけると可奈江に襲いかかる。抵抗しつつも芳美の寝ているすぐそばで、光彦に抱かれる可奈江であった。
親友の彼氏とセックスしてしまい絶交された可奈江は数日後、前田に退職願を出していた。嘘、偽りだらけのTVの世界、仕事のために、体を餌にする女子アナウンサー。そんな世界にもういれない。しかし、売れっ子の女子アナを前田が手放すはずがない。「なにをそんなに悩むんだ。ストレス解消法ならこの間実践してあげたじゃないか」ふと、可奈江の記憶にトイレで抱かれる淳子の姿が思い浮かぶ。狂っているからこそ、みんなテレビに引きつけられるんだ。