その夜、薄暗い倉の中で、愛し合う郁夫と久江。しかし、久江は最後まではさせなかった、寛一に認めてもらうまでは…。
一方、美弥子と寛一は久江の事について話合っていた。美弥子は『私たちが一緒になれたのは、久江さんが賛成してくれたからよ…だからアナタも久江さんの結婚を認めて‥』と言うが、郁夫は『それと、これは話が違う!』と聞きい入れなかった。
数日後、風呂に入っている美弥子の元に、天狗のお面を被った見知らぬ男が忍び寄って来る。激しく抵抗する美弥子だったが、次第に犯されて行く…。事後、天狗のお面をとった男は、寛一だった。『いい年こいて。俺はお前のとりこだ。おまえは人前ではきりりとした貴婦人。どこに連れて行っても恥ずかしくない。だからこうして交わるときは、おまえは淫乱な娼婦。性のすべてを知った魔性の女。どちらがお前の本質か…いや、そんな事はどうでもいい。とにかく俺はお前に夢中なんだ…』と美弥子を抱きしめる。その時、美弥子の目が光ったのは、寛一には気づくはずも無かった。
ある日、居酒屋で飲んだくれていた郁夫。そこに、一人の女性葉子が声を掛けて来る。勢いに任せて葉子を抱く郁夫。しかし、セックスの最中も郁夫は、美弥子の名前を呼び続けていた。
寛一に結婚を認めてもらえない久江は調子を崩していた。そんな久江を看護する美弥子。お香を焚き、身体を摩る。やがて眠りについた久江の身体を弄りはじめる美弥子。美弥子の瞳が妖しく光る。夢うつつの中、愛撫される久江。やがて、絶頂へ…。しかし、その事は久江は覚えてはいなかった。
三味線の稽古でやって来る郁夫。美弥子は優しく三味線を教えるが、集中できない郁夫。その事を察してか悩みを聞く美弥子。ポツポツと話始める郁夫を抱きしめる美弥子。その行為に驚く郁夫だったが、美弥子の優しい愛撫に溺れる。燃え上がる二人。
数日後、寛一が突然、観音様を観に行くと家を出て行った。そして、もう家に戻る事はなかった。
そして…土地や財産、全てを手に入れた美弥子が妖しく笑っていた…。