未亡人どもの反乱 喪服でおもてなし

  • 2019/01/23
出演者:
ゆき
小川真実
風間今日子
監督:
坂本太
上映期間:
2019/01/30 - 2019/02/05
上映時刻:
10:00~
ジャンル:
シアター:
《第一話・金沢の未亡人》
 知世は、亡夫の初七日の法要も終わらないうちに、早くも保険外交員の仕事を始めた。それは亡くなった夫への悲しみを紛らわす為もあったがもう一つは、息子の伸治と出来るだけ顔を合わさない為でもあった。実は、知世は亡夫の火葬が終わったその夜、夫の連れ子だった伸治と夫の遺影の前で過ちを犯したのだ。ポッカリと空いた心の隙間に、知世をいたわる伸治の優しさがしみこんだ時、魔が差したのだ。知世を不安にさせたのは、伸治を求める感情が大きくなっている事だった。
 そんな初七日を二日後に控えた知世を全国未亡人連合会巡回相談員の熊谷宗一郎が、知世の故郷である金沢名産の御菓子を持って新規会員入会の勧誘に訪れる。
 亡夫の霊前に真面目に手を合わせる熊谷の人柄に心を許した知世は、義理の息子伸治との一件と自らの心の中に沸き上がった伸治へのせつない感情を話した。
 いつもの様に帰宅した伸治の耳に聞こえる知世の妖しい喘ぎ声。震える手でドアを開き覗き込んだ伸治の目に飛び込んでくる知世と熊谷の痴態。やがて、智代の羞恥と罪悪感に潤んだ瞳が伸治の切ない視線と交錯する。
 亡夫の初七日の朝、無言のまま朝食のテーブルを挟む知世と伸治。「今日…法要の後に紹介したい人がいるの…」と告げた知世に動揺する伸治。知世の昨夜の痴態に対する嫉妬と不信に、居たたまれすに席を立っ伸治。
 無事に初七日の法要が終わった知世の家。知世が熊谷を伸治に紹介しようとした瞬間、熊谷は席を離れた。助っ人をなくした知世が口ごもると、伸治のほうから話を始めた。昨日のことは全て、僕の事を忘れさせるためだという事を熊谷から聞いていた伸治。「母親じゃなく、一人の女性として僕のそばに居て欲しい…」と…。切なく見つ合う知世と伸治。やがてどちらからともなく体を重ねていく。
 忍び足で、居間に近付く熊谷。ドアの隙間から、覗き見る知世と伸治の痴態。伸治の愛撫で身悶える知世の顔は幸せそうだ。
 智代の喪服姿の痴態に、後ろ髪を引かれながらも熊谷はドアを閉めた。
《第二話・京都の未亡人》
 真行寺君子は、一年前に亡くなった夫が残した小さなスナックを細々と守り続ける京都生まれの未亡人。何とか営業しているが、閑古鳥が鳴く日々。
 慰めは閉店後に、夫の遺影にこぼす愚痴と切ない自慰。君子は、夫の一周忌に、店を閉める事を考えていた。
 そして、いよいよ迎える夫の一周忌。君子はその前日、全国未亡人連合会巡回相談員を名乗る熊谷宗一郎の訪問を受ける。熊谷は、全国の未亡人会員を訪ね生活の相談に乗る仕事をしている。仏前にと渡した手土産は、京都の銘菓生やつ橋。夫と駆け落ちして以来、帰っていない故郷の懐かしさに心を許す。一周忌を機に店をたたもうと思っているんだけど…決心がつかなくて」と打ち明ける
 一周忌の寺。君子の亡夫の墓前には、喪服姿の君子と熊谷。墓前から立ち上がった君子が「熊谷さんは何でも力になってくれるんですよね?」と何処か妖しく潤んだ瞳で言う。「私と…浮気してください…」と何か心に決めた様に迫る君子。
 ラブホテルを歩く不釣合いな熊谷と、喪服姿の君子。
その一室。初めての浮気に動揺を隠せない君子。しかし、夫を忘れたい一心で熊谷に抱かれる。
君子の抑え続けた欲望が、堰を切って溢れ出し熊谷の肉体を貪っていく。
やがて、絶頂を迎え放心する君子が呟いた「やっばり、お店は続けるわ…亡くなったあの人に縛られてたのが馬鹿みたい…私これからは自分の為だけに生きるわ…これからも…相談に乗ってね」と…。どうやら熊谷の肉の一突き、その悦びが君子を交えた様だ。
《第三話・秋田の後家さん》
 男鹿冬美は、夫である日舞家元を亡くし間もなく四十九日の法要を控える未亡人。未の亡き後、義父の武弘の世話をしながら健気に日舞教室を守り続けていた。そんな冬美の姿に武弘はまだ若い冬美をこのまま後家として一生縛り付けて良いものかと思い悩み、亡き息子の納骨を機に冬美に新しい出発をさせようと考えていた。
 そんな冬美に、全国未亡人連合会の巡回相談員の熊谷を紹介した。しかし、それは武弘が一人寝の寂しさに耐える冬美の欲望を老いた自分では解消してやる事が出来ないと言うジレンマのあらわれでもあった。
 そんな法要を数日後に控えたある日、熊谷が冬美の故郷の名産品であるキリタンポを手土産に、何処か浮き足立って、冬美の家を訪れる。納骨の打ち合わせを済ませ帰ろうとした熊谷を、強引に引きとめ泊まっていく様に仕向ける。妖しい色気を漂わす冬美を見詰める熊谷の脳裏に、あさましい妄想が浮かんで消える。「やばい…また悪い癖が…」と心で呟いた。
悶々と、一人寝のつらさに寝返りを打つ熊谷の部屋に入って来る武弘。まだ手を出していない事を聞き、夜這いを勧めて立ち去る。しばらくして再びドアが開き、武弘がまた入ってきたのかと思うが、そこに立ってっていたのは冬美だった。「眠れないんです…」と、熊谷を挑発する様に布団に滑り込む冬美。舞い上がり、冬美の肉体を貪る熊谷。武弘がその痴態を複雑な表情で覗き見ている事に気付いていたのは冬美だけだった。
 四十九白の法要が終わり納骨を済ませて墓前で手を合わせる冬美と武弘、そして熊谷の三人。自分自身の気持ちにけじめを付ける様に、亡き息子の遺影の前で舞う武弘。その背後に冬美が立つ。気配に振り返った武弘の胸に飛び込む冬美。「私、本当はお義父様に慰めて欲しかったんです」冬美が頷き、羞恥に顔を伏せた。
 亡夫の遺影の前、義父にだけ身悶えする冬美。その欲望は果てなく、幾度も武弘を求めていく。
 数ヵ月後。無心の和室に、亡夫の遺影の横に武弘の遺影が飾られている。
 墓前に手を合わせる喪服姿の冬美。その背後に熊谷が佇み手を合わせている。目を開き「これで私…二度目の未亡人になっちゃった…。熊谷さんまだ私のこと…貰ってくれますか?」と、妖しく微笑む。その笑みに背筋がぞっとして笑顔が引きつる熊谷。
 境内を、あわてて走り去る熊谷の蒼い顔「恐ろしきは…未亡人…誰か、助けて…」と、悲痛なぼやきが重なる。その後を追いかける冬美が叫ぶ「…財産はもういらないの…欲しいのは×××だけなのよ!」