マリコ自身は、倦怠期を迎えている事は感じているが、夫を愛しているし、愛されていると信じている。しかし、平凡な夫婦生活に漠然とした不安があることは感じていた。なぜなら、ヒサシが会社の部下であるマナベキョウカと言う若いOLと不倫している事も薄々感じていたからだ。
そんなある日、ヒサシの元にマリコの知らない女性の葬儀を知らせる手紙が送られて来る。ヒサシは、会社を休んでまで地方都市で営まれる葬儀に泊まり掛けで出て行った。マリコは言い知れぬ不安に襲われた…。
そして、葬儀から帰宅したヒサシは、一人の男の子を連れて来る。名前はクロカワミチヲ(19)と言い「亡くなった遠い親戚の女性」の遺児だった。しかし、「引取り手がないミチヲを、しばらくうちで面倒を見てあげたい」とひさしは言った。マリコは不安を感じながらも同時に、ミチヲとの同居が倦怠期のヒサシとの夫婦生活に刺激になり好転していく事を期待していた。
しかし、その期待は見事に裏切られた。ヒサシの帰宅は仕事を理由に遅くなり、ミチヲの事もマリコに押し付ける。ヒサシは、キョウカの若い肉体に溺れていたのだった。やがてミチヲはマリコの事を「お母さん」と呼ぶようになった。ミチヲが懐いていく反面、マリコは夫への不満から自慰行為している所を、ミチヲに覗き見されている様な不安に駆られる。錯覚と思いながらもマリコの汚れた下着が数枚なくなっている事も事実だった。
そんなある日、マリコの元にヒサシとキョウカの不倫現場を撮影した写真が同封された匿名の手紙が届く。薄々は感じていたものの動かぬ証拠を見たマリコの心は大きく揺れる。しかし、ヒサシ自身にその事を問い質す事はマリコには出来なかった。何故なら、夫婦関係が壊れてしまう事が怖かったのだ。