そんな時、店の客である山崎和夫と知り合う。山崎が結婚詐欺とも知らず霞の心の隙間を埋めてくれる山崎の優しさに結婚を前提に交際をしていた。結婚を急ぐ山崎に霞は今一つ踏ん切りが付かない。亡夫への思いを断ち切れず不感症になっていた事もあるが、義弟である宮部隆一の事が気に掛かっていた。
隆一は、家業を嫌い憧れていた警官になり、兄の死後家元を継ぐことを拒否し更に婚約者である前田涼子にも何も告げず消息嫌不明になっていた。
霞はそんな踏ん切りの付かない悩みを里美に相談するが『それは…死んだ旦那を裏切っているという被害妄想が原因」と女達の駆け込み寺として有名な『萬念寺』の住職から頂いた精神を安らかにさせる『お香』を試してと手渡す。
萬念寺は、住職の巌鉄と巌隆という修行僧の二人きりの小さな寺である。しかし、萬念寺は現代の駆け込み寺の異名があり多くの悩みを抱える女性達が住職の巌鉄の有り難い説法に助けられ立ち直り評判になる一方、巌鉄が説法と称し、媚薬を調合したお香で女性達を惑わせ猥褻行為を行い高額のお布施を取っているという悪い噂もあったのだ。
その夜、半信半疑で『お香』を試した霞は、その甘い香りに押さえ切れない欲望の高ぶりを感じ山崎と激しく交じり合い感じてしまう。